竹内さんの事務所に出来高制への契約の変更や仕事環境の変化などについて確認したが、期限までに返答は得られなかった。

 別の芸能関係者も「彼女は頑張り屋で、完璧主義者。言いようのない疲れや悩みがあったのではないか」と語る。

 頑張り屋で思いやり深いといった特徴は、7月に亡くなった三浦春馬さんにも当てはまる。三浦さんも複雑な家庭環境で育った。小学生の時に母に連れられ実父の家を出て、母が再婚すると「連れ子」として義父と暮らした。三浦さんが14歳の時から親交があり、サーフィンの師匠だった卯都木睦さんがこう語る。

「母親が外で働いていたから、子供の頃は学校から帰ると一人でカップ麺を食べる生活をしていた時期があったと春馬は言っていました。親には複雑な思いがあり、茨城にサーフィンに来ても、近くの実家には寄らずに東京の自宅に帰っていた」

 3月、コロナ禍で苦しむ地元のために支援を頼むと、<地元に少しでも活気が漲るなら>と、水のペットボトルを2ケース送ってきた。これが最後のやり取りだった。

 竹内さんと三浦さんは映画「コンフィデンスマンJP」シリーズで共演していた。三浦さんの死のショックが、竹内さんにも影響したのか。芸能人のカウンセリングを多く手掛ける前出の藤井准教授は語る。

「人の死は人生で経験するストレスの中で一番大きい。身近な人が亡くなり反応性のうつ病になるのは珍しくない。性格的に一人で抱え込みやすいところに、コロナ禍で仕事が減れば自信を失うでしょうし、色々な要素が悪い方向に絡んでしまった可能性がある」

 コロナ禍で、芸能人特有の悩みもあるという。

「うつ病の大きな対処法は休むことですが、芸能人の場合、仕事を失う恐怖から休めない。先の保証はどこにもなく、『自分はこの業界に必要とされているのか』などと、極端な考えを持ってしまう人もいます」(藤井准教授)

 さいたま市にある竹内家の墓には、奇しくも竹内さんと同じ40歳で亡くなった母が眠っている。墓前には、数日から数週間前に置かれたと思われる、乾いた小さな花が供えられていたという。

◇相談窓口
■日本いのちの電話連盟
・フリーダイヤル0120・783・556
(16時~21時、毎月10日は8時~翌日8時)

■よりそいホットライン
・フリーダイヤル0120・279・338
・IP電話やLINE Outからは050・3655・0279
(24時間)

■こころのほっとチャット
・LINE、Twitter、Facebook @kokorohotchat
(12時~16時、17時~21時、最終土曜日から日曜日は21時~6時、7時~12時)

(本誌・上田耕司、岩下明日香/今西憲之)

週刊朝日  2020年10月16日号より抜粋

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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