巨人の小林誠司=昨年9月16日(C)朝日新聞社
巨人の小林誠司=昨年9月16日(C)朝日新聞社
巨人の桜井俊貴=昨年9月16日(C)朝日新聞社
巨人の桜井俊貴=昨年9月16日(C)朝日新聞社
巨人の鍬原拓也=昨年6月5日(C)朝日新聞社
巨人の鍬原拓也=昨年6月5日(C)朝日新聞社

 セ・リーグ首位を独走している巨人で、微妙な立場に置かれているのが小林誠司(31)、桜井俊貴(26)、鍬原拓也(24)の「ドラフト1位トリオ」だ。

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 小林は2016年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマーク。リーグ屈指の強肩で阿部慎之助(現・巨人2軍監督)の後の正捕手を勝ち取ったが、小林がレギュラーだった16~18年はV逸したために「物足りない」と手厳しい評価が多いのも事実だった。

 原辰徳監督が3度目の監督に就任した昨年はリーグ優勝に貢献したが、91試合出場と4年ぶりに100試合に届かず。今季は開幕3戦目の6月21日の阪神戦(東京ドーム)で死球を受けて左尺骨骨折で登録抹消された。リハビリを経て9月18日に約3カ月ぶりに1軍に昇格したが、後輩の大城卓三が正捕手となり立場が完全に逆転している。

 絶大な信頼関係で結ばれているエース・菅野智之が登板時はバッテリーを組んできたが、今季は故障から1軍復帰後も、菅野の登板試合では大城が先発マスクをかぶっている。今季の菅野は開幕から球団史上初の12連勝を達成。コンビを組む大城の株も上がっている。ベテラン捕手の炭谷銀仁朗や成長著しい岸田行倫も控える中、小林はシーズン途中にロッテに移籍した沢村拓一に続く「トレード要員」の報道が目立つようになった。サンチェスが登板した10月1日の広島戦(マツダ)では好リードで勝利に導くなど必要な戦力であることは間違いない。大城から正捕手を奪い返すには課題の打撃力アップがカギを握る。

 昨年に自己最多の8勝をマークした5年目右腕の桜井も、今年は伸び悩んでいる。先発、救援で何度もチャンスを与えられたが、15試合登板で2勝2敗3ホールド、防御率5.04。1、2軍を往復し、安定感を欠いている。

 3年目右腕の鍬原も昨秋に原監督の助言でサイドスローに投球フォームを改造したが、5試合登板のみで防御率6.43と結果が出ていない。1軍復帰を目指していたが、8月に右ひじ痛でリハビリ組に合流と試練が続いている。

 巨人のドラフト1位は独特の重圧がある事は間違いない。日本ハムに移籍して覚醒した大田泰示も打撃スタイルで試行錯誤を繰り返し、巨人時代は伸び悩んだ。だが、即戦力として期待されているゆえに、乗り越えなければいけない壁でもある。巨人の担当記者は、こう分析する。

「小林、桜井、鍬原に共通しているのは性格が優しいことです。普段はのんびりしていて口調も穏やか。グラウンドで闘志が前面に出るタイプではない。失敗すると顔に出るし、落ち込んでしまう。原監督が求めているのは肉体的にも精神的にも強い選手です。結果はもちろん大事ですが、彼らがグラウンドでは『優男』から豹変(ひょうへん)して自分の殻を破ってプレーする姿を望んでいると思います」

 常勝軍団は激しい競争が繰り広げられ、敗れた選手はドラフト1位でも容赦なく淘汰(とうた)されていく。小林、桜井、鍬原はこの逆境を乗り越えられるか。=記録は10月3日現在(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事