システム障害の影響で終日取引が停止した東京証券取引所=2020年10月1日午後1時13分、東京都中央区(C)朝日新聞社
システム障害の影響で終日取引が停止した東京証券取引所=2020年10月1日午後1時13分、東京都中央区(C)朝日新聞社
東京証券取引所の障害について、会見する宮原幸一郎社長=2020年10月1日午後4時31分、東京都中央区(C)朝日新聞社
東京証券取引所の障害について、会見する宮原幸一郎社長=2020年10月1日午後4時31分、東京都中央区(C)朝日新聞社

 今年度下半期の“スタート日”に、多くの企業や投資家らが出ばなをくじかれた。

 10月1日、東京証券取引所がシステム障害によって取引を終日停止。終日の売買停止は、取引がシステム化された1999年5月以来初めてだという。同じシステムを使う名古屋・福岡・札幌の各取引所も、同様に停止した。

「多くの市場参加者や投資家に多大なご迷惑をかけた」

 同日夕、東証の宮原幸一郎社長が記者会見を開き、頭を下げた。2日からは「正常な取引ができるようにする」とした。東証によると、午前7時過ぎに売買システムに故障が見つかり、相場情報が正常に配信できなくなった。円滑な対応が難しいため、終日の売買を停止したという。故障は運用系ネットワークのメモリーで、「本日中に故障したメモリーを交換する」(横山隆介常務)と説明。システムを納入した富士通に解明を依頼しているという。

「月末や期末よりはましですが、月のスタートで、少しがっかりした気持ちになります」

 楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦さんは話した。ただ、米シカゴ市場の日経平均先物はプラスで、ニューヨーク株も高く、東京市場の日経平均には悪い地合いではなかったとする。米国先物市場もプラスになっており、日本市場の株価の先行きについては、大きな影響が出ないのではないかとも指摘した。

 とはいえ、この日に取引をしようとしていた投資家にとっては全く商売にならなかった。証券会社も1日分の売買手数料が入らなくなった。東証の専用サイトによると、今年に入って1日平均の売買高は十数億株から20憶株前後となっている。

 システム障害で、上場初日の取引で値がつかないという“不運”に見舞われた企業もあった。

 広島銀行が持ち株会社として上場した「ひろぎんホールディングス(HD)」もその一つ。また、インターネット証券のインヴァストもこの日、ジャスダック市場へ上場したが、値がつかなかった。もともとインヴァスト証券として上場していたが、ひろぎんHDと同様に持ち株会社として“テクニカル上場”したケースだ。

 東証の宮原社長は会見で、原因究明や再発防止策を講じ、経営責任を明確にするとした。(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日オンライン限定記事