同志社大今出川キャンパスのれんが造りのチャペル (c)朝日新聞社
同志社大今出川キャンパスのれんが造りのチャペル (c)朝日新聞社
同+関関近立、産甲龍 (週刊朝日2020年10月9日号より)
同+関関近立、産甲龍 (週刊朝日2020年10月9日号より)
南山+愛愛名中、西福 (週刊朝日2020年10月9日号より)
南山+愛愛名中、西福 (週刊朝日2020年10月9日号より)

 併願した大学・学部にどちらも合格した場合、どちらに進むのか。大手予備校・東進ハイスクールのデータから、関西、愛知、九州の各私立大学の人気併願パターンを徹底分析して選択基準を探る。受験生にとって悩ましい選択の決め手とは。

【表で見る】同志社、関関近立…ダブル合格者の入学比率・比較結果はこちら

 長らく関関同立という言葉が使われてきたが、同志社のブランド力は別格だ。関西とのダブル合格では98%が同志社を選択。立命館や関西学院とのダブル合格を見ても、それぞれ98%、100%が同志社に進学した。

 同志社の多久和英樹入学センター所長は言う。

「うちは教育には手を抜かない。本当に教員がものすごく仕事をする」

 普段の授業だけでなく、研究指導、就職活動に至るまで、熱心に指導やサポートをする文化が教職員にあるという。

「創立者・新島襄が『人一人は大切』と述べており、一人ひとりの学生を大切にするのが伝統。その結果、親御さんや社会の評価が高くなっているのでしょう。小細工で評判を上げようとしても、すぐにここまでの評価を得ることはできない」

 関西学院と立命館のダブル合格も見てみよう。関西学院・経済と立命館・経済では全員が関学に。関西学院・商と立命館・経営でも82%が関学となった。大学全体でも78%が関学を選んだ。立命館の人気は上がっていると言われるが、まだ関学に分がありそうだ。

 一方、関西は関学や立命館とのダブル合格で苦戦している。ただ、関西・システム理工は立命館・理工に36%、同志社・理工に14%と善戦する様子がうかがえる。システム理工はAI人材を育成するプログラムを今年から始めており、人気を集めている。

 ここに割って入るのが近畿だ。かつては産近甲龍の一つとして位置付けられてきたが、京都産業、甲南、龍谷とのダブル合格では近畿が圧倒。大学全体でも、京都産業とでは90%、龍谷とでは87%、甲南とでは67%が近畿を選んだ。

 注目は関関立とのダブル合格。近畿・法と立命館・法では14%が近畿を選び、近畿・総合社会と関西・社会では7%が近畿に進んだ。関学との比較でも近畿を選ぶ場合がある。「関関立蹴り、近畿」も決して珍しくない。

 背景には広報戦略のうまさがある。コロナ禍で対応に苦戦する大学をしり目に、人気芸人で近畿OBの霜降り明星を起用し、オンラインでオープンキャンパスを実施。医学部の専門家がテレビ各局にコロナ関連の解説で出演するなどした。

「関関同立が伝統、保守的だとすると、近大は革新的、挑戦的。新校舎の建設や学部の新設などに取り組んできた。こうした立ち位置を支持する受験生は増えている」(近畿大入学センター事務部長)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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