髪が短くて一つに結べない人は、境目の部分にカチューシャやターバンなどを使うと、ファッションの一部としておしゃれに見せることができる。

 テルイさんは18年の同美容室のオープン以来、大勢の女性のグレイヘアと向き合ってきた。はじめて店を訪れる客の大半は、「グレイヘアに興味はあるけど、老けて見えるのが心配」「長年、白髪染めを続けるのに疲れた」と、後ろ向きな気持ちを抱いているという。

 しかし、プロのアドバイスに助けられながら、グレイヘアへの移行期間を上手に過ごすうちに、みるみる表情が明るくなっていくという。

「境目をなじませるためにカラーリングをするとき、その色に合わせてヘアスタイルも変えるのですが、そこでかなり垢抜けた印象になります。すると、ご家族や友人から『すごくいい!』と褒められることで、前向きな気持ちになるようです。グレイヘアのカラーリングによって、ヘアスタイルの自由度は確実に高まります」(同)

 髪形が変わると、メイクやファッションも変えたくなるようで、グレイヘア移行期間の約8カ月~1年半が過ぎたころには、別人のようにイメージチェンジしてしまった人も少なくないという。

「グレイヘアだと老けて見えると思われがちですが、シニアの方に特化したスタイリングを続けているうちに全く逆だと思うようになりました。グレイヘアのほうがヘアスタイルやメイク、ファッションの自由度は高く、華やかなファッションはグレイヘアのほうが似合います。若い人が『私もあんな感じになりたい』と憧れるような、円熟味を増した、素敵な女性になれるはずです」(同)

 定期的に美容室に通う必要がある白髪染めのストレスから解放されるのも、前向きな気持ちになれる要因の一つだろう。コロナを機に、自分に合ったグレイヘアを目指してみてはいかがだろうか。(吉川明子)

週刊朝日  2020年10月2日号より抜粋