■朝は何を食べるかより、いつ食べるか

 体内時計の乱れは、体調の変化にも表れる。「以前は朝から調子がよかったが、最近はだるいことが多い」「昼過ぎにならないと調子が上がらない」などの症状だ。すぐに対策を始めたい。特に、20歳までと65歳以降は体内時計がずれやすく、戻りにくいので、より注意が必要だ。

 体内時計を調整するのは、五つの「同調因子」。最も強いのは朝の太陽光で、次が規則正しい食事、特に朝食が大事だ。暑さや寒さなどの環境の変化や運動、人とのコミュニケーションも同調因子になる。それでは、一日の時間帯ごとにやっておきたい対策を紹介しよう。

【朝の対策】
 平日も休日も、同じ時間に起きること。目覚めたらカーテンと窓を開け、太陽の光を十分に浴びる。15分ぐらいは窓の近くで新聞を読んだり、お茶やコーヒーを飲んだりして過ごしたい。

「起床後に朝の日差しを浴びると、光の刺激が脳に伝わり、脳内物質のセロトニンの分泌が活発化されます。これにより体内時計のズレが修正されます」(内村さん)

 必要な光の強さは2500ルクス以上。曇りでもそれくらいの明るさになるが、さすがに雨の日はそこまで明るくない。

 そんなときに役立つのが他の同調因子。例えば、毎朝同じ時間に食べ物が胃に入ると、それが物理的な刺激となって体内時計のズレが修正される。朝、何を食べるかより、いつ食べるかが大事だ。

 雨の日対策として内村さんが勧める意外な体内時計リセット法が、コンビニの利用。実は店内の照明は1千数百ルクスと、一般家庭より明るい。店内で30分ほど過ごすと、太陽光を浴びたような効果が期待できる。夜ではなく、朝に行く場所と心得よう。

【日中の対策】
「ときどき仕事の手を休めて、ベランダに出たり、散歩をしたりすること。1時間に1回はストレッチなどの運動をして、仕事にメリハリをつけること」(駒田さん)

 適度な運動は、セロトニンの分泌を高める作用もある。セロトニンは集中力の維持や気分の安定をもたらすだけでなく、眠りの質を高める脳内物質メラトニンの材料になる。できるだけ昼間に体を動かして、増やしておきたい。

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