──どんなイラストのときですか。

神足:どれというのではなく、イラストを見てサイバラの心の中を何回も見たようでドキッとした。お互いの心の中を覗いたようでホロリとくる。ボクがいい人間になったわけじゃない。けど、昔を知っている戦友だけに大人になった自分をさらけ出している姿に感動したりするのだと思う。

西原:またキレイなコータリンが出てる(笑)。「恨ミシュラン」のころのコータリンは、虚飾にまみれ、美食と酒三昧。今から見ても「嫌なやつ」してたよね。それが、少しもそういう人じゃなくなっちゃって思うのは、きっとコータリンの本性は今のキレイなほうで、昔はきっと東京がその人を変えてしまっていたという感じ。あれだけお酒飲んで酔っ払って、メチャクチャしてたのに、毎日ちゃんとお子さんの弁当作りに帰るような人だったよね。

神足:「週刊朝日」で「恨ミシュラン」の連載を始めたのは、今から28年前のことかな。あのころは怖いもの知らずだった。時代も手伝ってがむしゃらに真剣に、やり放題に見えるような取材をしていたね。

──「恨ミシュラン」では西原さんに漫画を、神足さんに文章を、それぞれが相談することなく勝手に思ったままに書いていただきました。それがある種の化学反応を起こして、セットで読むと非常におもしろかった。気に入らなかった度を5段階で示す「恨ミ度」も、食い違うことはあまりありませんでしたね。

西原:連載初回では、コータリンは自分は美女と食べに行くから別行動でと言っていたのよ。でもそれ、真っ赤な嘘で、一緒に行く美女が見つからなくて、すぐに「まぜてください」って合流したのよね(笑)。当時は二人とも若いから、バカみたいに飲んで。立ち飲み屋でベロベロに酔っぱらってるオヤジが仲良くなるみたいな感じだった。

──本当に二人ともよく飲みましたよね。

西原:コータリンは水球部出身だから体力あって、30時間とか40時間とか平気で飲み続けられたのよね。いつだったか、3500円のうどんを出されて、「うどんっていうのは1玉50円でしょ!」とか言い始めてね。「不平等だ!」とかサヨクのヒトみたいにアジテーション始めちゃったりもした。

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