VRというとハードルが高く感じるかもしれないが、機材の操作は簡単。機材の使用料はサービス全体の料金(税別2万5千円から)に含まれ、スマートフォンがあれば容易に利用できる。

「お墓が当会の加盟店から離れていたり、山奥など交通の便が悪いところだったりする場合は高速道路料金など実費を負担してもらうこともありますが、基本的に全国どこでも利用可能です」(吉田会長)

 意外なことに、こうした墓参り代行やお墓掃除などのサービスを「ふるさと納税」の返礼品として自治体が採用する例も増えている。

 国内最大級のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京都目黒区)によると、返礼品として「墓参り代行」を登録する自治体の数は前年に比べて1.4倍に増えた。返礼を受けるための寄付金の額には幅があるが、北海道岩見沢市や兵庫県加西市など1万円台が多いようだ。実際のサービスはシルバー人材センターや石材店が手がけるケースが多い。

 急速に普及する墓参り代行。「手抜きじゃないか」「コロナに便乗したお金儲け」などの批判もSNSなどで散見されるが、前出の吉田会長は「墓参りに行きたくても行けない人にとっては切実な問題です」と強調する。

「年を取り、足腰が弱くなって墓に行けずに『先祖に申し訳ない』と考えている人は少なくありません。当会は先祖を供養したいという利用者の気持ちを大事にしたい」

(本誌・池田正史)

週刊朝日  2020年10月2日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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