林:就職はどうなさるんですか。

出口:去年卒業したトップの学生はインドネシアの女性でしたが、「私はインドネシアの女性活躍大臣になりたい」といって、ハーバードの大学院にそのまま進学しました。

林:まあ、すごいですね。

出口:トップクラスの学生ははじめから大学院を考えて、「国連で働いて、国に帰って政治家になりたい」とか「リーダーになりたい」という夢を持っていますね。イスラム圏の話をすれば、人口が多いイスラム圏の国といえば、インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、インドがトップ4で、この4カ国の共通項ってわかります? 過去に女性の大統領や首相を出しているんですよ。日本はまだ出てませんよね。

林:今、台湾も香港もトップは女性ですもんね。先生は、就職面接のときに「クラブは何やった?」「サークルは何を?」などと聞いている限り、学生のレベルは上がらないとお書きになってますね。

出口:そう思います。みんないい大学に入るために受験勉強をしますが、なんでいい大学に入りたいのかといえば、いい会社に入りたいからですよね。そのいい会社の採用基準に「大学時代の成績」がなかったら、学生が勉強するはずはないじゃないですか。

林:そうなんです。一流大学の運動部の子たちはどんどんいい会社に決まっていくから、みんなどんな形であれ部活をやらなきゃと思ってますよね。だから勉強しない。「就職の採用担当者は、学生に最近読んだ本と感銘を受けた本は何かを必ず聞きなさい」ともおっしゃってますね。私、日本文芸家協会の理事長として、どうやったら本を読んでくれるかを考えてますけど、ここに一つのヒントがあるなと思うんです。

出口:企業の人は、「そうすると自分も読まなきゃいけないから面倒くさい」っていうんですよ。本を読まないで、なんで企業の幹部でいられるのかと思いますよね。

林:そう思います。大学で勉強しなければ卒業できない、就職もできないというふうにしてもらわないと。

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