新規登録者は20~40代が大半で、首都圏の割合が高くなる傾向だ。

 スマウトを活用する山口県萩市は、前出の豊岡市のような「地域おこし協力隊」(9人枠)で、22人も応募が来るなど手応えを得る。

「コロナをきっかけに、都市部で仕事をするより、地方で仕事をすることに興味を持った方はいました。これまで簡単に移り住みにくかった世帯が動き出しています」(市担当者)

 茨城県の移住・就職相談センターでも相談が増えている。50~60代の退職者がセカンドライフを送るための移住が中心だったが、最近は働き盛りの30代が目立つという。

「リストラを懸念している」。こう話すのは、首都圏で不動産関連の会社に勤める30代の男性だ。コロナでテナント需要が低迷するなど先行きが不透明なため、移住を絡めた転職を考えている。首都圏外で就職活動を続け、すでに内定を得た会社もあるという。

■複数県探す人も パソナは淡路移転

 都市部への人口流出が進み、労働力の確保が課題とされてきた地方。図らずも、コロナがこうした「逆流入」を呼び起こすきっかけになった。

 徳島県は、コロナで解雇や雇い止め、採用内定取り消しとなった人を対象に県職員を募集した。

「移住者がどんどん増えているかというと、まだそこまでではありません。ただ、コロナが移住を考えるきっかけにはなっている。移住関連サイトの閲覧が増え、東京の相談センターなどに問い合わせが増えています」(県担当者)

 東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」は45道府県の地域情報を提供し、移住や地方暮らしの相談を受けている。高橋公理事長は「面談を含めて本気度の高い人が来ています。移住に仕事は不可欠」と語る。センターにはハローワークも備え、移住先での就職を支援する。

 センター内に相談窓口を設ける岐阜県の担当者もこう話す。

「これまでの移住は『観光で訪れて良かった』という理由でしたが、コロナがきっかけなのか、現地を訪れたことがないという人もいます。地方移住に興味があり、インターネットなどでよく調べてきて、趣味や好きなことをやりたいと相談に来ます」

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