自民党のある幹部は、「(克行被告は)出馬準備のため弁護団に保釈を訴えていたようだ」と話す。菅政権が誕生することで、解散も近いという観測が出ている。克行被告は無所属でも選挙に出るつもりだったようだ。

 この幹部はあきれ気味にこう話す。

「何度も保釈申請が却下されると心証が悪いから、弁護団からも冷静になれと言われていたようだが、『選挙に出られない』『無罪なのになぜ保釈されないのか』『政治生命はどうなる』と文句を言っていたようだ」

 克行被告が渇望する保釈だが、これからも厳しくなりそうだ。

 元検事の落合洋司弁護士は「心証が悪くなるばかり」と指摘する。克行被告の弁護人は公判前も変わっており、今回で2度目。また、4日にあった公判では、証人として出廷した秘書を克行被告が恫喝(どうかつ)し、裁判長から不規則発言として注意される場面があった。

「法廷で秘書に食ってかかっては保釈許可は出ませんよ。保釈中に証人となる人に証言を強要する危険性がありますから。今回は迅速さが求められる裁判なのに遅延させるような手法はちょっといただけない。ますます保釈許可は出にくくなる。自分で首を絞めることになりかねない」(落合弁護士)

 選挙も大切だが、まずは裁判に真摯(しんし)に向き合ったほうがよいのでは。(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定記事

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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