タレントたちはギャラ自体ではなく、必要経費が認められないなど待遇が不満だったという。「コストカットがひどく、タレントとマネジャーがお茶しても、お茶代も出してくれない。仕事をとるために、クライアントやテレビ局の担当者と会食しても、タレントより給料の低いスタッフやマネジャーの自腹。それで、自分たちを大事にしてくれないんだったら退所します、というふうになった」(同)

 事務所にはかろうじて、看板女優の上戸彩、武井咲が残っている。

「古賀会長と、上戸の夫でEXILEのHIROとは仲がいい。人気絶頂だった上戸の結婚を許してもらっているから会長に恩義がある。武井は、EXILEのTAKAHIROとデキちゃった婚。これまた会長に義理がある。この2人はオスカー最後の砦(とりで)ですね」(レコード会社関係者)

 ある芸能ジャーナリストは「SMAPの退所騒動」から芸能界に地殻変動が起きたと指摘。「オスカー退所後も米倉はCMやドラマに引っ張りだこ。テレビ局に圧力もかからないため、余計に歯止めがかからない。タレントの引き抜きを禁じる日本音楽事業者協会に加盟しないオスカーは、スカウトの“草刈り場”でもある。マネジャーが辞めて、そのままタレントを引き抜くなど別の事務所にも移りやすい」

 タレント流出が止まらない“オスカー帝国”は、存亡の危機を迎えている。(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2020年9月18日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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