Xグループの場合、通知が出た翌日の時点では、休業補償の実質6割は「法律に基づき適正に支払っている」「流動的に対応している。ユニオンの要望がなくても差別的な扱いにならないよう給与支払いを検討している」というスタンスだったが、6月22日になると「国の通知を遵守する」と譲歩した。そして6月25日、会社側はついに、全パート社員への満額補償を約束した。

 国の通知の影響も大きかったとはいえ、恵子さんが自ら立ち上がり、会社に要求を突き付けたことで勝ち取った結果と言えるだろう。介護・保育ユニオン共同代表の三浦かおり氏はこう語る。

「全パート社員の満額補償は大きな成果です。利益優先の現場で感じる違和感を大切にして、良い保育のために必要なことを要求するのは、自分や職場だけでなく保育全体の改善につながります。ユニオンなら会社を超えて仲間もできる。諦めないでほしいです」

週刊朝日  2020年9月18日号より抜粋