ヘバーデン結節(右)とブシャール結節 (平瀬医師提供)
ヘバーデン結節(右)とブシャール結節 (平瀬医師提供)
ヘバーデン結節の手術後 (平瀬医師提供)
ヘバーデン結節の手術後 (平瀬医師提供)

 指の関節が「痛い」「変形している」といった場合、それは女性ホルモンの影響かもしれない。年のせいでも、使いすぎでもない。放っておかずに専門の「手の外科」で診てもらおう。サプリメントから手術まで、段階に応じた適切な治療法がある。

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 関東地方にあるスポーツクラブで社交ダンスを教えている吉田真弓さん(仮名・64歳)が、指に異変を感じるようになったのは、50歳を過ぎたころ。左手の人さし指の第一関節と第二関節が痛くなり、関節がこわばって動きにくくなった。

 そのうち治るだろうと放っておいたが、痛みは引かない。それどころか、指先が少し太くなり、曲がってきたような気もした。不安になって、近くの整形外科を受診した。

 そこで告げられた病名は、「ヘバーデン結節」と「ブシャール結節」。だが、医師からは「年のせいなので、治りません」と一蹴されてしまった。困った吉田さんが駆け込んだのが、四谷メディカルキューブ(東京都千代田区)の「手の外科」だ。

「実は吉田さんのように、痛みがあって指が曲がってきたと病院を受診しても、医師から『治らない』『年のせい』『使いすぎ』と言われ、放置されてしまっているケースがたいへん多いのです」

 そう問題視するのは、同院手の外科・マイクロサージャリーセンター長の平瀬雄一医師だ。マイクロサージャリーとは、手術用顕微鏡を使う微細な手術や技術のことを指す。平瀬医師は、手指の治療を専門とし、これまで8千件以上の指の変性疾患を診察してきた。

 手指の変形にはいくつかのタイプがある。もっとも多いのが、指の第一関節に起こるヘバーデン結節で、次が第二関節に起こるブシャール結節。ほかに親指の付け根に起こる母指CM関節症などもある。いずれも痛みや腫れ、関節の動かしづらさを伴うこともあれば、気がついたら変形していたというケースもある。

 意外だが、指関節が変形する人の割合は決して小さくない。東京逓信病院整形外科(当時)の児玉理恵医師らが平均65歳の男女3040人を調べたところ、91.5%の人に手指の関節の変形がみられたと報告している。

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