水は連続的に当てるより断続的に当てたほうが単位面積当たりの力、応力が大きくなる。これを利用し、流速の違う洗浄水を交互に噴出することで、お尻の位置で毎秒70発の水玉を形成。貯湯タイプでは毎分1千~1300ミリリットル使っていたが、毎分430ミリリットルの湯量でも貯湯式と同等の洗浄力を持ち、心地よい洗浄感が得られるようになった。

「この洗浄方式の開発により、すっきりしたデザインと快適性が両立。弊社が重視している『デザインと機能の融合』を実現するために欠かせない技術のひとつとなっています」(同)

 初めて搭載したのは99年10月に発売した「ウォシュレット アプリコット」。新技術は大いに注目を集めた。

 そして09年には、大小の水玉を交互に当てる「新ワンダーウェーブ洗浄」、さらに17年には水玉に空気を混ぜて大粒化して洗浄感をより高めた「エアインワンダーウェーブ洗浄」を開発。快適性は格段にアップした。

 一方、便器の洗浄水を減らすため、便器自体も品質が向上した。

 その代表例が、99年に特許を取得し、同社の衛生陶器に使用されている「セフィオンテクト」だ。

 従来の釉薬(ゆうやく)層の上に純度の高いガラス層を1200度でじっくり焼き付けた。これにより表面がナノレベル(100万分の1ミリ単位)でツルツルになると同時に、親水性が高いことから汚れがつきにくく落ちやすくなった。

 加えて水の流れを徹底追求し、便器内に渦を巻くような洗浄水の水流を作る「トルネード洗浄」を02年に開発する。

「それまでは、ただ単に便器の縁から滝のように洗浄水を流すのが一般的でしたが、真横に放出。便器内を洗浄水がぐるぐると回転しながら流れるため、少量で効率よく洗浄できるわけです。この技術は、欧米でもかなり注目され、似たような洗浄システムを採用したメーカーが多いそうです」(前出のB記者)

 そして06年のモデルチェンジで使用洗浄水量は6リットル、09年には4.8リットルを実現。

「最新の『ネオレスト』シリーズでは、一つの便器にタンク式と水道直圧式、二つの水を融合させた洗浄技術『ハイブリッドエコロジーシステム』により、洗浄水量4.8リットルを達成。さらに床排水タイプは3.8リットルという超節水を実現しました」(TOTO本社広報グループ)

(ライター・高鍬真之)

※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。

週刊朝日  2020年9月11日号より抜粋