優美な曲線を描くフラッグシップモデル「ネオレストNX」 (写真=TOTO提供) ※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です
優美な曲線を描くフラッグシップモデル「ネオレストNX」 (写真=TOTO提供) ※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です
男女300人から取得したデータを元に開発された初代ウォシュレット (写真=TOTO提供) ※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です
男女300人から取得したデータを元に開発された初代ウォシュレット (写真=TOTO提供) ※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です
ソフトなタッチでお尻に優しい「エアインワンダーウェーブ洗浄」 (写真=TOTO提供) ※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です
ソフトなタッチでお尻に優しい「エアインワンダーウェーブ洗浄」 (写真=TOTO提供) ※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です

 温水でお尻を洗い、温風で乾かす……。今や一般家庭だけではなく、ショッピングモールやオフィスビル、そして新幹線、航空機に搭載されるほど普及した温水洗浄便座。中でも1980年発売のTOTO「ウォシュレット※」は、国内でトップレベルのシェアを誇り、海外でも売り上げを伸ばしている。ロングセラーの理由は何か? ライター・高鍬真之氏がその秘密に迫った。

【写真】大小の水玉を交互に当てる新技術!「エアインワンダーウェーブ洗浄」がこちら

「暖かいトイレシートが恋しかったわ」

 2005年12月5日、12年ぶりに来日した米国ポップス界の女王・マドンナ。記者会見で「日本に来たと実感した瞬間は?」と質問されてこう答えると、会場は笑いに包まれ、ウィットに富んだコメントは世界中を駆け巡った。

「暖かいトイレシート」。それが温水洗浄便座を指すことは過去のコメントから明らかだった。

 TOTOがウォシュレットを発売して、今年6月で丸40年。今年4月、累計出荷台数は国内・国外を合わせて5300万台を突破した。

 一般社団法人日本レストルーム工業会が内閣府の消費動向調査等の資料でまとめた一般家庭の温水洗浄便座普及率は、16年に初めて80%を超え、19年には約80.4%を記録。同工業会のHPには「トイレの水洗化を終えた一般家庭には、ほぼ普及したと推測される」と記されている。

 旧郵政省(現・総務省)建築部に所属し、5年前には全120室の大学学生寮新築の監理を担当した1級建築士事務所「アーキポスト」代表の観音克平氏(一般社団法人公共建築協会理事)はこう言う。

「紙を使わないで局部を洗浄できる温水洗浄便座は、高い衛生観念を持ち、潔癖な日本人の国民性にフィットしました。手軽で便利、使用後の爽快感は格別。一度使うと手放せなくなるのは、多くの方々が実感されているのでは?」

 数ある温水洗浄便座の中でも、「ウォシュレットは市場の5割以上を占めるトップブランド」(住宅専門誌デスク)だ。続いて「サティス」「プレアス」などのブランドを持つLIXIL(リクシル)、そして「ビューティ・トワレ」シリーズを販売するパナソニックが3位に入り、3社で国内シェアの約9割を占めるという。

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