出演者の堺雅人(左)と片岡愛之助 (c)朝日新聞社
出演者の堺雅人(左)と片岡愛之助 (c)朝日新聞社

 回を重ねるごとに盛り上がるTBS系ドラマ「半沢直樹」。作中では理不尽な仕打ちなども多いが、実際の銀行員たちはどう見ているのか。Aさん(本社運用部門。50代)、Bさん(副支店長。50代)、Cさん(大手行の中枢ポストなどを経て新興銀行。50代)、Dさん(大手行の中枢ポストなどを経て取引先に転職。50代)の4人に、ドラマを語ってもらった(新型コロナ感染拡大を防ぐため個別に取材し、編集部で構成しました)。

【写真】半沢の妻を演じた上戸彩の美しすぎるショットはこちら

[前編 銀行員が語る「半沢直樹」のリアル 「責任を部下になすりつけることも」より続く]

*  *  *

B:証券会社に出向して銀行の営業部に返り咲くというのは、まさにドラマなんでしょうね。役員とあんなにやり合って出向したら生き残れない。かりに証券会社に出た場合、株式の売買などを担当するのが普通。半沢はいきなり大きな企業案件を担う。ある意味でエリートコースです。

C:銀行から出されて復活することはある。エース級の人は外から戻ることがある。子会社へ行った人は2パターンに分かれる。やる気のある人と、ない人。ドラマのように銀行本体が子会社の案件を取った、というのは聞いたことがない。

A:半沢のような人はなじめずに辞めるか、意見や性格を銀行に合うように曲げるか。上司にかみついてばかりいたら主任どまりで一生、管理職などにはなれない。

B:「左遷」は役員級ならともかく、現場レベルではない。そんな見え見えな人事をすると、今どきは部下やお客さんから逆に“刺され”ます。

D:出向先についても、銀行でどこまで偉くなったかで全てランクがついています。要するに、銀行での出世が人生の最後まで影響する。だからみんな出世競争に必死なのです。

A:我々の世代は、上司が「正しい」と言ったら正しい。「黒」と言ったら、たとえ「白」であっても「黒」。親分と子分の関係のようなもの。人事だって、上のほうの役員までその関係がずっとつながっている。そのつながりが役職や異動を左右するし、派閥のようなものになる。

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
次のページ