ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が語る。

「家庭内にウイルスが持ち込まれた場合、感染を防ぐ方法はありません。若い夫婦の場合はさほど問題になりませんが、深刻なのは高齢者がいる家庭です。従来のように症状が出た人だけPCR検査に回すような体制では、感染が失速しないことがわかっています。社会全体の感染を抑えれば、自動的に家庭内感染も職場内感染も減る。そのためには高齢者と同居している人や、老人ホームなどに勤める人は週1回くらいのペースで検査を受けられるようにしなければなりません」

 しかし、無症状でも受けられる民間の医療機関が行うPCR検査は、保険適用でないため1回2万~4万円程度かかる。一方で、ソフトバンクグループが唾液(だえき)を用いたPCR検査を低価格で行う子会社を設立し、注目されている。

「検査費用が高すぎます。新型コロナと同じRNAウイルスのC型肝炎の検査費用は4千円程度です。高齢者と同居する人やエッセンシャルワーカーの定期検査を推奨し、民間の検査会社に回す代わりに費用をディスカウントさせる。厚生労働省や、感染者の多い東京都は民間の検査会社とそういう交渉をするべきなのにサボっている。あたかも、家庭や職場に落ち度があるかのような言い方には憤りを覚えます」(久住医師)

(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2020年9月11日号