刑務官が門をあける東京拘置所(C)朝日新聞社
刑務官が門をあける東京拘置所(C)朝日新聞社

「職員がコロナ検査を受けた結果、陽性との結果が出ました」

 8月にこんな手紙をくれたのは、名古屋刑務所に収容されている40代の男性受刑者だ。
 法務省によると、名古屋刑務所に勤務する30代の男性の法務技官が7月31日に新型コロナウイルスに感染したことを確認したという。
 
 刑務所は基本的に刑が確定した、受刑者が収容されている。面会は一般的に受刑者の親族関係に厳しく制限され、名古屋刑務所でも同様だという。

「インフルエンザなど、受刑者が病気になる場合、刑務官からもらう(感染させられる)ケースが多い。対応のしようがありません。コロナも同じです」

 だが、この受刑者の手紙にはこんな訴えがあった。

「コロナ感染のいらだちを受刑者にぶつけるように、当たり散らす刑務官もいます。コロナ感染は受刑者のせいやと非難するひどい刑務官もいます。理不尽です」

 刑務所、拘置所内でのコロナ感染は、名古屋刑務所だけではない。福岡刑務所、大阪拘置所などでも刑務官など職員の感染が確認されている。

 また、東京拘置所では、衆院議員の秋元司容疑者の事件の共犯として逮捕された、被告がコロナに感染し隔離されているという。

 前述の名古屋刑務所の男性受刑者は、コロナの予防策について不安を感じていると手紙に書いている。

 名古屋刑務所では、毎日、体温を計測し、37・5度以下であれば、工場に出るという。刑務所では移動の際には、整列し大きな掛け声で歩くのだが、危険が多いというのだ。

「飛沫防止のため、掛け声、唱和はしないようになりました。しかし、刑務所ですから密は避けられません」

「手洗い、うがいを徹底されているのですが、多くの受刑者が同じコップを使いまわします。やかんの水でちょろっと洗う程度。マスクも同じものを何日も使いまわしです。猛暑で熱中症対策のつもりか、最近はマスクが必須ではなくなりました。密の中でも、マスクをしない受刑者が増え、心配です」

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