河井克行被告(左)と妻の案里被告(C)朝日新聞社
河井克行被告(左)と妻の案里被告(C)朝日新聞社

 公職選挙法違反(買収)の罪で東京地検特捜部に逮捕された前法相で衆院議員の河井克行被告と妻で参院議員の河井案里被告の初公判が、8月25日に東京地裁で行われた。法廷での様子をリポートする。

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 午前10時過ぎ、新型コロナウイルス対策で傍聴席が通常より3割程度に減らされた法廷に現れた2人。

 黒のスーツに白のYシャツ姿の克行被告。愛称が「アライグマ」のふっくらした顔つきとは打って変わり、「激やせ」の印象。案里被告の方は黒のスーツの上下で、体型は逮捕前とはあまり変わりのない様子だった。

 裁判長に職業を聞かれた克行被告と案里被告は、それぞれ衆議院議員、参議院議員と述べた。

 起訴状によれば、克行被告は昨年7月の参院選をめぐり、案里被告への票の取りまとめを依頼する趣旨で広島県内の市長や県議、市議ら計100人に現金約2900万円をバラまき、案里被告は克行被告と共謀して、このうち5人に170万円を渡したとされている。

 罪状認否では、2人はともにこれらの容疑を否認。克行被告は、

「多くの皆様にご心配、ご迷惑をかけ深くお詫びする」

 と謝罪して現金を供与したことは認めたが、

「案里被告と共謀はしていない」
「現金の供与は選挙運動、票の取りまとめという趣旨でない」

 などと主張した。

 案里被告は、自身が5人の地元議員に現金を渡したとされていることについて、

「(広島県議の)下原康充さんには渡した記憶がない。(江田島市議の)胡子雅信さんに10万円も渡していない。(県議の)奥原信也さんに50万円を渡したが日付が5月ではなく4月だった」

 などと訴え、徹底的に無罪を争う姿勢を見せた。

 これに対し、検察側は冒頭陳述で河井被告夫妻がカネをバラまいたとされる100人の全員の名前をあげ、カネを渡した日時、場所などについても詳述。河井被告夫妻が、「領収書などを要求することもなかった」として、現金配布は案里被告の参院選の票を取りまとめるための買収が目的だったと主張した。

 そして、検察側は驚きの「隠し球」を出してきた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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検察が明かした「隠し玉」の中身とは