市場に出せないものも増えるため、県内の約350戸は、温暖な地中海で作られているブラッドオレンジを作っているという。松山市などは、現在はほとんどをメキシコなどから輸入している亜熱帯性果樹のアボカドへの切り替えを支援している。

 茨城県にも南国のフルーツの印象が強いマンゴーを作る農家もある。もともと花き栽培を手がけていた保田幸雄さんだ。

「たまたま知人から沖縄産のマンゴーの苗木を譲り受け、『作ってみようか』と思い立ち、10年に試験栽培を始めました。茨城では誰も育てたことがないので手探りでしたが、今では『安くて甘い』との評判をもらえるようになりました。でも最近は気候の移り変わりが大きく、育てる難しさを改めて感じています」

 気象庁によると、日本の平均気温はこの100年で1・24度上がった。気温の上昇とともに、フルーツの味や産地も変化を迫られている。

(本誌・池田正史)

※週刊朝日オンライン限定記事

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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