■大場正明(映画評論家)


評価:★★★
設定などの情報を最小限にとどめ、空間と時間を限定し、カメラが主人公たちに密着することで、生々しい臨場感や閉塞感を生み出す。内戦下で精神的、肉体的に傷を負う市民の姿を、独自の視点と表現で浮き彫りにしている。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
ずっと胸が締めつけられていました。これが現実であることを認めたくない。不安のなか、どう生きればいいのか。ドキュメンタリー風に描き、しかもあのラストシーン。この映画をしばし背負って生活することになりそう。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
限定された空間での緊張感の持続は練られた脚本とカメラワークの見事さの貢献が大きい。閉じこもった側の視点のみで、その他の者が何を考えているかわからないからこそ、人を思いやる気持ちが表出すると鮮烈さが増す。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2020年8月28日号