東京都品川区のモスフードサービス本社 (左から弘兼憲史氏、櫻田厚氏、桜井博志氏 撮影/写真部・小黒冴夏)
東京都品川区のモスフードサービス本社 (左から弘兼憲史氏、櫻田厚氏、桜井博志氏 撮影/写真部・小黒冴夏)
(左から)モスフードサービス会長・櫻田厚、旭酒造会長・桜井博志、漫画家・弘兼憲史(撮影/写真部・小黒冴夏)
(左から)モスフードサービス会長・櫻田厚、旭酒造会長・桜井博志、漫画家・弘兼憲史(撮影/写真部・小黒冴夏)

「課長 島耕作」の弘兼憲史さんが、親交のある、人気日本酒「獺祭(だっさい)」の蔵元・旭酒造(山口県)の桜井博志会長、「モスバーガー」を展開するモスフードサービスの櫻田厚会長と鼎談。コロナ後の働き方や企業のあり方を語った。いまだ進化を止めない「アラウンド70歳」の3人が示す「新経営論」とは。

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前編/「獺祭」会長「みんな気にしていない」 コロナ禍も3、4年後には元に戻る?】より続く

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桜井博志会長(以下、桜井):うちの直接の取引先である酒屋さんは優勝劣敗、格差が広がると見ています。飲食店に卸すのが中心の酒屋さんはかなりこたえるでしょう。うちの会社としては、やっぱりうまい酒を造っていきたい。それしか勝ち残る方法はないと思っています。余談ですが、今回のコロナで私自身の頭が冷えて目が覚めたというのがあります(笑)。

弘兼憲史さん(以下、弘兼):今までイケイケだったということですね(笑)。

桜井:ちょっとイケイケだったのとちょっとテキトウだったのですね(笑)。だけど、ここにきて売り上げがガーンと落ちました。これは経営者にとって一番怖いこと。一時期(4、5月)は前年比の50%ぐらいですから。「うちの会社、もつのか」と真剣に考えましたよ。でも経営方針は変えませんでした。大事なのは同じことをやり続け、強化・進化させていく。ここにしか生き残れる方法はないと思っています。

弘兼:僕は旭酒造さんがもし新製品を開発されるならね、世界に出てワインに伍して闘うには、お酒の中にお米の持つ何か甘いふわっとしたフレーバーを注入するとか、そういうことを考えたらどうかと思っています。外国人は必ず飲む前に香りを楽しみますから。

桜井:それでいうと、今回のコロナで売り上げも製造数量も落ちたでしょ。酒蔵も暇になったので、若い社員を2人1チームにして酒を造らせたんですよ。そしたらこれがね、僕が自分で造った時の記憶に基づいて造った酒よりいいんだよね。やっぱり、これまで徹底してやってきたデータによる品質管理は間違っていなかったなと(笑)。

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