「高校生にありがちな、やみくもに球速にこだわる投手とはわけが違います。狙ったコースに投げられる150キロだからこそ値打ちが高い。打者により力を使い分け、ピンチにはギアを上げる。そのうえ、終盤でも低めに150キロ台の速球が決まるわけですから、即戦力。考え方はさまざまでしょうが、高橋クラスがプロ入りしなかったら、高校生の誰がプロ入りできるのかという話です」

 この試合では6四死球と課題もありそうだが、安倍氏は意に介さない。

「四回に三つと四死球が集中しましたが、試合中に一時的に体のバランスが崩れて制球を乱すことは力投型の投手によくあること。変化球のリリースポイントのずれなど課題もまだまだありますが、プロで鍛えればおのずと修正されていくはず。伸びしろは十分ですよ」

 さて、高橋が秋に向けて下す決断は──。(本誌・秦正理)

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週刊朝日  2020年8月28日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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