安売り・廃棄なしのアパレル「ミナ ペルホネン」、ブランド哲学のルーツは魚市場のバイト 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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安売り・廃棄なしのアパレル「ミナ ペルホネン」、ブランド哲学のルーツは魚市場のバイト

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週刊朝日#読書
※写真はイメージです (GettyImages)

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 ライター・永江朗氏の「ベスト・レコメンド」。今回は、ファッション・デザイナー、皆川明氏の著書『生きる はたらく つくる』(つるとはな、1400円)を取り上げる。

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 たいていのファッションブランドは、売れ残り商品を廃棄する。安売り店に流れてブランドイメージが崩れるのを防ぐためだが、その量は膨大だ(じつは、出版界も大量廃棄しているのだけど、その話はまた別の機会に)。

 ミナ ペルホネンはバーゲンセールもしないし廃棄もしない。つくった服はなくなるまで売り続ける。人件費の安い海外で生産することもない。

 家具や雑貨にも広がるそのものづくりは評価が高く、昨年は東京都現代美術館で展覧会が開かれた(兵庫県立美術館に巡回中)。

『生きる はたらく つくる』は、ミナを率いるデザイナー・皆川明の半生記である。

 陸上競技に夢中だった少年が、なぜファッション・デザイナーになったのか。その偶然の重なりも面白いが、ぼくが感心したのは魚市場で働いたというエピソードだ。

 すぐれた織物工場の多い東京・八王子にアトリエを構えてブランドを立ち上げたものの、まだまだ服だけでは食べていけない。求人広告で見つけた魚市場で、朝の4時から昼までアルバイトしたのである。マグロをはじめ魚をさばくときに気をつけるのは、いかに無駄になる部分を出さないか。安売り・廃棄をしないミナのルーツはここにある。

 自分について冷静な見きわめができているのもすごい。自分には服のシェイプ(形)をつくり出す力が欠けている、と皆川は言う。そのかわり布の織りや柄に力を入れ、それが彼のつくる服の魅力になっている。

 松家仁之によるインタビュー・構成・文章は、静かで気持ちよく力強く、まるでミナの布のようだ。

週刊朝日  2020年8月14日‐21日合併号


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