養老孟司「不安と同居するやり方を覚えるのが成熟」コロナ禍の社会で (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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養老孟司「不安と同居するやり方を覚えるのが成熟」コロナ禍の社会で

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解剖学者・養老孟司(左)、訪問診療医・小堀鴎一郎 [撮影:徳永彩(KiKi inc.)]

解剖学者・養老孟司(左)、訪問診療医・小堀鴎一郎 [撮影:徳永彩(KiKi inc.)]

小堀鴎一郎さん(左)と養老孟司さん [撮影:徳永彩(KiKi inc.)]

小堀鴎一郎さん(左)と養老孟司さん [撮影:徳永彩(KiKi inc.)]

 新型コロナによる不安と恐怖、オンライン診療……。コロナ禍の社会を訪問診療医・小堀鴎一郎さんと解剖学者・養老孟司さんの2人はどう見るのか。

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*  *  *
小堀:前回お会いしたのは新型コロナウイルス騒動初期の3月でしたが、その後、お変わりありませんでしたか?

養老:新型コロナではないのですが、入院しましてね。6月に検査をしたら、心筋梗塞が見つかってしまった。そのまま入院しまして、緊急手術でした。おかげさまで、今は元気にしています。

小堀:私は患者さんが寝ているご自宅まで行かないと成り立たない仕事をしているので、コロナ期間も普段と変わらない生活をしていました。世の中で最も在宅勤務に向かない商売です。ただ、自分が感染した場合のことは常に考えていました。ホテルで療養はしたくないので、自宅で静かにして熱が下がるのを待つ準備をしていました。もしも重症化した場合には、同僚が防護服を着て出張してくれる段取りをしていましたが、おかげさまで今まで無事でした。

養老:今回入院して気づいたことがあります。これまで在宅治療と入院なら在宅のほうがいい、と思っていました。病院の外なら大好きな虫がいますし、ほかのものともつながっていられますしね。ただ、半分死んだようになってICUにいて、ここで死んじゃうのも悪くないな、と思いまして。つまりね、死ぬときは、どのみち全部切れちゃうわけですから。

小堀:たしかに、死ぬ瞬間にすべてを絶たれた状態で、酸素が行きわたっているICUで死ぬという最期はいいですが、養老先生の場合は例外中の例外なんです。不調を感じて入院して、即手術で、経過がとても短かったからそう思われたのでしょう。普通の場合はもっと死に至るまでの経過が長いので、必ずしもいいとは言えません。

養老:入院中に自分でもおかしい、と思って笑っちゃったのが、幻覚を見たんですね。ベッドから半身を起こして部屋の真ん中のモニターを見ると、お地蔵さんが映っているんです。後で考えると、ひょっとしてお迎えが来たのでは、とね。近頃は何でもリモートで、お地蔵さんもリモートだったのかと(笑)。ついていかなかったので、帰ってこられました。


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