実はこの会社の自社ビルには幽霊話がたえない。だれもいないはずのフロアで話し声が聞こえたり、机やイスが急にガタガタ揺れたり。夜中に残業していたある社員は視線を感じて天井を見た。すると、フロアを仕切る衝立の上に女性の顔があった。だらりと両腕を垂らし、下を見下ろしていたという。過去何度もお祓いをしてもらい、常に数カ所に塩が盛られてあった。

 そんなある日、H恵さんは書類を会社に忘れたことに気がついた。どうしても今日じゅうに片づけなければならない書類である。午後11時を過ぎ、フロアの電気は消えていた。H恵さんはまず電気をつけた。書類を見つけ、早く外に出ようとしたときだった。奥の部屋からぼそぼそ不気味な男の話し声がするではないか。H恵さんは凍りつき、足が動かなくなった。逃げたいのに動けない。声はだんだん大きくなって、

「へぇ、OLなんだ。けっこう遊んでるんでしょう……ふふふふふ」
「ぎゃー!」

 たまらずH恵さんは叫んだ。すると、奥の部屋からも男の悲鳴が聞こえた。

「ぎゃー!」

 飛び出してきたのは上司の男性。社の電話を使って夜な夜なテレクラにかけていたセコい上司だった。

■ 骨董屋で掘り出し物発見? 超アフリカンなお面の正体

東京都板橋区の会社員Yさん(36)は、お面に凝っている。2年前にタイに行ったときに初めて土産に買い、魅力にとりつかれた。毎月1個はエスニック雑貨店などで買うようになり、今では部屋の壁一面にお面が飾られている。インドネシア、メキシコ、中国、そしてアフリカ。掘り出し物をさがすため、最近では骨董屋にもよく行く。

 3月はじめ、Yさんは浅草の骨董屋で掘り出し物を見つけた。タテ60センチ、ヨコ40センチ。車の若葉マークのような形をしていた。よく見ると、2枚の板をくっつけて作られている。口元など、木目の自然な流れを利用して作られ、なかなかの味。Yさんはお店のおばさんに聞いた。

「どこの国のお面ですかね」
「さあねえ、ちょっとわからないねえ」
「アフリカかなあ」
「さあねえ」

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