DeNAのラミレス監督(C)朝日新聞社
DeNAのラミレス監督(C)朝日新聞社
広島の佐々岡監督(右から2人目)=代表撮影(C)朝日新聞社
広島の佐々岡監督(右から2人目)=代表撮影(C)朝日新聞社

 首位を快走している巨人だが、主軸の坂本勇人丸佳浩は本来の状態とは言えない。坂本は目下18打席連続無安打で打率2割2分6厘、7本塁打。丸も打率2割2分4厘、8本塁打。7月は月間打率3割1厘と復調の気配を見せたが、坂本同様に23打席連続無安打中と調子を崩している。

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 坂本、丸が不調でも白星を重ねられる。現在3連敗中だが、24勝15敗3分の貯金9。2位・DeNAに2.5ゲーム差まで追い上げられているが、スポーツ紙デスクは巨人優位が崩れないと分析する。

「勝っているのは原辰徳監督のベンチワークによるところが大きい。勝負所できっちり点を取る野球ができているし、坂本や丸も状態が悪かったら犠打を命じるなど勝つための野球に徹して特別扱いをしない。原監督と比較すると、DeNA・ラミレス監督、広島・佐々岡真司監督は首をかしげる采配が多い。両球団とも優勝を狙える戦力なのでもったいないですね」

 確かに、巨人が他球団を戦力で圧倒しているわけではない。先発ローテーションで期待されたサンチェスが右肩違和感、不動の守護神・デラロサが左脇腹肉離れで登録を抹消され、リードオフマンとして期待された吉川尚輝の伸び悩みもあり、1番打者を固定できていない。チーム打率2割4分9厘は、リーグトップの広島の2割7分9厘、DeNAの2割7分4厘に比べて2分以上低い。

 一昔前のように個々の能力で相手を圧倒しているわけではないが、得点を見ると巨人がリーグトップの196得点。原監督の用兵術がさえわたっていることを証明している。前出のスポーツ紙デスクは、こう話す。

「広島もDeNAも選手個々を見れば打ちますが、機動力で揺さぶってこないので安打数の割に得点が入らない。DeNAは2位ですが、あの戦力ならもっと勝てるというのが正直な印象です」

 巨人以外の球団のふがいなさが目立つ中で、健闘していると言えるのがヤクルトだ。前年は投手陣が崩壊して最下位に低迷。高津臣吾新監督を迎えたが、戦前の下馬評は低かった。だが、シーズン3分の1を終えて勝率5割をキープする大健闘。巨人に対戦カードで4勝3敗1分とセ・リーグで唯一勝ち越している。ヤクルトの奮闘ぶりを他球団は見習わなければいけない。

 新型コロナウイルスの影響で開幕が大幅に遅れた今年は、セ・リーグではクライマックスシリーズが開催されない。坂本、丸も実績十分の選手だけに今後は必ず調子を上げてくるだろう。巨人が独走してセ・リーグの灯を消さないためにも、他球団は勝負の夏場で意地を見せてほしい。=記録は8月10日現在(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事