記念館の入り口には、来館者を出迎えるかのようにいじわるばあさんとサザエさんに挟まれた、長谷川町子の銅像が置かれている。3体の像は、『サザエさんうちあけ話』の表紙に描かれた絵を元に作られた(撮影/写真部・松永卓也)
記念館の入り口には、来館者を出迎えるかのようにいじわるばあさんとサザエさんに挟まれた、長谷川町子の銅像が置かれている。3体の像は、『サザエさんうちあけ話』の表紙に描かれた絵を元に作られた(撮影/写真部・松永卓也)

「サザエさん」「いじわるばあさん」の作者であり、昭和を代表する漫画家・長谷川町子の足跡を振り返る記念館が、7月11日にオープンした。初めて一般に公開される鮮やかな原画が並び、ここでしか買えないサザエさんグッズも充実。ファン垂涎の記念館を訪ねてみました。

【ギャラリー】サザエさん、いじわるばあさんがお出迎え!長谷川町子記念館・館内の様子はこちら

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 館内に一歩入ると、木の温かさに包まれた快適な空間が広がる。長谷川町子美術館(東京・桜新町)の向かいに今夏、分館としてオープンした長谷川町子記念館だ。貴重な原画や秘蔵資料など、今年生誕100年を迎えた漫画家・長谷川町子の魅力に迫る展示を楽しめる。長谷川町子美術館副館長の橋本野乃子さんがこう語る。

「美術館は町子と姉の毬子が収集した美術品の展示が中心なのに対し、記念館は町子の作品展示をより充実させたラインアップ。デジタルとアナログの双方向で作品の世界観に触れられる展示や、町子の幼少期から没後までを資料を用いて紹介したコーナーなど、町子の世界をより深く楽しんでいただけます」

 2階建ての館内は、ロビー、ミュージアムショップ、カフェに加え、「町子の作品」「町子の生涯」と題された二つの常設展示室と企画展示室で構成される。

 1階の「町子の作品」展示室では、最新のデジタル技術を駆使した展示で代表作「サザエさん」などの世界観を楽しめるほか、絵本やぬり絵など子ども向けコーナーも充実している。

 2階の「町子の生涯」展示室では、子ども時代のエピソードや漫画家になった経緯など、町子の生涯を数々の資料で追体験。仕事道具や趣味で制作した陶芸作品なども見ることができ、町子の創作にかけた情熱が伝わってくる。

 2階の企画展示室では、3カ月ごとにテーマを変え、あらゆる角度から町子の仕事ぶりを紹介する予定。初回は、「長谷川町子の漫画創作秘話」と題し、「サザエさん」を中心に創作過程の秘密に迫る。

 町子の新しい魅力に気づける新スポット。ぜひ足を運んでほしい。

■長谷川町子記念館(美術館分館)
〒154-0015 東京都世田谷区桜新町1-30-6
開館時間:10時~17時30分(受付締切16時30分)
休館日:月曜日
入館料:一般900円、65歳以上800円、
大学生・高校生500円、中学生・小学生400円ほか
※美術館と記念館の両方をご覧いただけます。
公式サイトURL:https//www.hasegawamachiko.jp/
※しばらくの間、入場制限があります。詳しくは公式サイトをご確認ください。

(本誌・松岡かすみ、工藤早春)

※週刊朝日臨時増刊 サザエさんと長谷川町子2020夏

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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