克行被告からカネをもらったとされる三原市長だった天満祥典氏と安芸高田市長だった児玉浩氏がともに辞任。出直し市長選がはじまったのだ。

 選挙戦初日、三原市の自民党の市長候補の出陣式には、広島県の湯崎英彦知事や自民党広島県連の宮沢洋一参院議員、そして参院選で案里被告と争って落選した広島政界の重鎮、溝手顕正氏らが顔を見せた。

 宮沢氏は河井被告夫妻についてこう断罪した。

「自民党に県民の厳しい目が向けられている。河井夫妻、言語道断、本当にとんでもないことをしてくれたと思っている」

 自民党候補と対抗する別の候補者は「金権政治を断つ!」と大きなのぼりを掲げる。自民党の三原市議の一人はこう話す。

「溝手氏は三原市長から参院議員になった人物。まさに地元だ。それなのにお膝元の天満氏は河井被告夫妻から150万円ものカネをもらい買収されていた。自民党というだけで『河井被告夫妻からもらったんじゃないのか』と市民から疑惑の目でみられて困っている。そんな政治不信の影響からでしょうか、今回は過去最多の4人が市長選に出馬している。河井被告夫妻がばらまいたカネでどれだけ地元に迷惑がかかっているのか、2人はわかっているのか。広島から消し去りたいよ」

 そんな声もあって、自民党では克行被告の衆院広島3区と案里被告の参院広島選挙区に新しい候補者を擁することを検討中だという。夫妻の選挙区には出馬希望者がいるという。

「克行被告は、無罪を勝ち取り広島3区から出馬と意気軒昂のようだがすでに自民党を離党している。広島だけじゃなく、安倍政権をめちゃくちゃにした河井被告夫妻をそのままにはしておけない。この秋にも解散かと言われる中で、早く2人の後継を決めなきゃいけない。最近の世論調査で支持率が低迷している大きな理由の一つが河井被告夫妻。しっかりケジメをつけないといつまでも2人の悪評で、ますます支持が下落するばかりだ。河井被告夫妻が自民党として広島に戻る席はない」(前出・自民党幹部)

(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら