百日裁判でバッチを失う可能性がある河井案里参院議員(C)朝日新聞社  
百日裁判でバッチを失う可能性がある河井案里参院議員(C)朝日新聞社  

 昨年7月の参院選で広島での首長、県議らにカネをばらまき、公職選挙法違反(買収)で逮捕、起訴された前法相、河井克行被告と妻で参院議員の河井案里被告。河井被告夫妻は保釈を求めたが、却下。現在も東京拘置所で勾留されている。

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 獄中の案里被告はバッチを失う瀬戸際に立たされている。公選法では選挙の当選者や連座制対象の秘書、親族らが問われた買収事件などの判決は「起訴から100日以内にするよう努めなければならない」と定められている。裁判に時間がかかり、判決や当選無効が確定した時には議員の任期が満了しているような事態を避けるためで、初公判も起訴から30日以内に開くことが求められる。

 案里参院議員の公設秘書で、車上運動員への違法報酬事件で公選法違反(買収)罪に問われた被告の公判は百日裁判で審理され、広島地裁は起訴からおよそ80日で執行猶予付き懲役刑を言い渡した(現在、控訴中)。公設秘書の有罪が確定し、連座制適用が認められれば、案里議員は自身の刑事裁判の結果にかかわらず失職する。

 同じく公選法で起訴された河井被告夫妻も百日裁判で争われることになる。8月中には、初公判を開く方向で、検察と河井被告夫妻の弁護士、裁判所で調整されているという。自民党幹部がこう話す。

「河井被告夫妻は、徹底して争う意向のようだ。2人ともカネは配ったが、買収ではなく当選祝いなどの政治資金であると、法廷で主張する見込みだ。河井被告夫妻がカネを渡したと検察が主張する100人のほとんどを法廷に呼び、証言を求めるそうだ。克行被告は、検察側の出してきた証拠を熱心に読み込み『これは違う』などと、裁判に備えていると聞いている。だが、猛暑の拘置所生活は厳しく、河井被告夫妻ともにかなり痩せ、暑さがこたえているようだ。保釈は当面、厳しい」

 一方、河井被告夫妻の買収事件の余波で広島では、選挙戦の真っ只中だ。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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