Aさんが心配するように、日本人は深刻な長生きリスクに直面している。

 0歳を起点とした平均余命を平均寿命と呼び、19年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳でともに過去最高を更新している。しかし最近、注目されているのが「寿命中位数」。特定の年齢の生存者が、半数に減少する年齢だ。

「過去30年間の平均寿命の変化をみますと、1988年から男性は0.19歳ずつ、女性は0.2歳ずつ延びています。単純に足すとあと13年で女性の平均寿命は90歳を超えます。さらには今の50歳の人の寿命中位数、つまり半数に減少する年齢は男性91歳、女性は97歳になります。今の50歳の女性の2人に1人が97歳まで生きるということになります」(同)

 できる限り働き続け、年金を増やすことが大事になるのだ。80歳代後半ではなく90歳代後半までの人生設計が必要になる。

(ライター・村田くみ)

週刊朝日  2020年8月14日-21日合併号より抜粋