1月に大相撲初場所を観戦する天皇ご一家 (c)朝日新聞社
1月に大相撲初場所を観戦する天皇ご一家 (c)朝日新聞社
2月の天皇誕生日に皇居へ入る眞子さまと佳子さま (c)朝日新聞社
2月の天皇誕生日に皇居へ入る眞子さまと佳子さま (c)朝日新聞社

 令和に変わり1年3カ月が過ぎたが、コロナ感染拡大は止まらず、両陛下の英国訪問や四大行幸啓である「植樹祭」や「海づくり大会」をはじめ、他の皇族方も外出を伴う公務は延期や中止が続く。外出自粛が続く天皇ご一家の知られざる「ニューノーマル」を追う。

【写真】2月の天皇誕生日に皇居へ入る眞子さまと佳子さま

 両陛下の現在の公務はお住まいの赤坂御所(東京都港区)と執務や儀式を行う宮殿が中心。「通勤」のために御料車で往復する以外は、ほぼ外出はなく、天皇家の表情を伝えるニュースは減った。

 しかし、赤坂御所で行われた7月21日のご接見は、ひさしぶりに、エネルギーあふれる両陛下の様子が伝わってくるものだった。

 赤坂御所に伺ったのは、コロナ拡大で困窮する子どもや家庭を支援する、「あすのば」代表理事の小河光治さんや「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」理事長の栗林知絵子さん、「キッズドア」理事長の渡辺由美子さんだ。

 小河さんが振り返る。

「もともとの予定は、夕方の18時から1時間。終了時刻になると、お付きの方が合図を送った気配がありました。しかし、両陛下は我々が気詰まりにならないよう、自然に会話を続けてくださって、気づいたら30分も超過していました」

 小河さんは、コロナ不況で困窮する家庭の高校生たちが書いたアンケート資料を両陛下に見せた。

「部活は辞める。アルバイトして家にお金を入れないといけないから」「就職の内定を取り消された」「だれか、たすけて……」

 両陛下は、悲鳴がつづられた紙を、食い入るように読んだという。

 栗林さんも、コロナ休校で居場所をなくしたり、食事に困る子どもたちのための、子ども食堂の活動について話をした。危機的状況の一方で、いままで他人だった地域の人たちが、手を取り合い、「おせっかい」を合言葉に、新しい絆が生まれた、と話した。

「おせっかい」という言葉に、両陛下は思わずふふっと笑い、そして天皇陛下は「ピンチをチャンスに、ですね」と継いだ。

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