起訴された河井克行衆院議員 (C)朝日新聞社
起訴された河井克行衆院議員 (C)朝日新聞社
起訴された河井案里参院議員 (C)朝日新聞社
起訴された河井案里参院議員 (C)朝日新聞社

 昨年7月の参院選で選挙区の広島県内の市長、県議、後援者など合計100人に2900万円をばらまき、公職選挙法違反(買収)で起訴された前法相、衆院議員の河井克行被告と妻で参院議員の河井案里被告。

【写真】起訴された河井案里参院議員

 案里被告の当選の有効性が争われる百日裁判の全容が明らかになってきた。関係者によれば、8月7日までに初公判が東京地裁で行われる見通しという。

「検察側から大量の証拠が開示され、それを読み込んでいる。とんでもない分量だ」(弁護団関係者)

 河井被告夫妻がカネをばらまいて、買収したと起訴状の「買収リスト」に記されたのは100人。

「買収された市長や県議から後援者関係者まで、100人のほぼ全員を法廷で尋問することになりそう」(捜査関係者)

 百日裁判は原則、起訴されて100日以内で1審判決を言い渡さねばならない。ウグイス嬢に、法定の上限額を超える日当を支払った案里被告の公設秘書、立道浩被告も新型コロナ感染拡大で全国に緊急事態宣言が出される中、広島地裁で初公判が開かれた。1審で執行猶予付き有罪判決が言い渡されるまで80日ほどだった。

 克行被告の「買収リスト」や起訴状に名前がある地方議員の一人はこう怒りを隠せない。

「東京地検から連絡があって『打ち合わせを2回して、8月末か9月に法廷で尋問をしたい』と言ってきた。場所はすべて東京でやると。コロナ第二波で拡大する中、全国で最も感染者が多い東京に猛暑の中、来いという。もしコロナに感染して広島で拡大させてしまったらどうする? 人権無視もいいところだ」

 また、別の地方議員もこう不安を語る。

「東京地検特捜部が広島で取り調べをした時、いつも検事が体温を測らせろと、計測する。問題なければ取り調べがはじまります。しかし、検事や立ち会う事務官の体温を聞いても言いません。『大丈夫だから』というばかり。東京地裁に出廷してほしいと要請があった。県をまたいで移動するなと言っているさなかに検察は、とんでもない」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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コロナ第二波の中、東京に呼びつける検事