それなのに、だ。我が家の私以外のメンバーは、私を差し置いてずーっと『鬼滅の刃』の話で盛り上がってやがる。「“たんじろう”がさー!」「え? 団時朗がどうしたって!?」と、小粋なボケをかましても完全無視である。「その人は『北斗の拳』でいうところの誰?」と聞いても全員スルーである。悔しくて『鬼滅の刃』読んでみた。

 めっちゃ面白い。もっと早く読めば良かった。だから今度は『北斗の拳』を大人買いして、お返しに子どもとカミさんに読ませることに決めた。絶対に読ませる。『鬼滅の刃』に嵌るなら『北斗の拳』にもグッとくるはず。もう『世代』とかじゃないんだよ、良いものは良いのだっ!!

 とここまで書いて、週刊朝日の読者は私より年配が多いことに気づいた。

『北斗の拳』は大丈夫だろうか。とかく『世代』は難しい。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。YouTube 「春風亭一之輔チャンネル」ぜひご覧ください! アーカイブもいろいろあります

週刊朝日  2020年8月7日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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