もし2年延期論の課題が予算なら、日本が財源を確保すればIOCは再検討する可能性があるとの見方もある。ただ、感染拡大が続く現状では不確定要素が多いことに変わりはない。

 東京大会の開催可否は約半年後の22年北京冬季大会にも影響する。IOC最古参委員のディック・パウンド氏は、ロイター通信に「(東京大会が中止なら)ウイルスの連鎖反応が起こらないと想像するのは難しい」と話した。

 ただ、東京大会が中止になれば、チケット販売収入や放映権収入が消える。スポンサー企業への弁償問題も発生しかねない。森会長は17日の会見で中止に言及し、「誰が弁償するのか。そういうことを考えれば、(中止の場合の費用は)倍とか3倍になるとわかるんじゃないか」と述べた。一方で、中止の判断は「日本の事情だけで決められる問題ではない」とも説明した。

 IOCのコーツ調整委員長は5月、開催可否を評価する時期は10月ごろとの見通しを豪オーストラリアン紙で述べた。IOCはその後、中止論を打ち消したものの、全く根拠のない発言ではないだろう。

 年内解散も囁(ささや)かれる中、ポスト安倍候補の一人、石破茂元防衛相は言う。

「スポンサーのためでも、政治家のメンツのためでもない。アスリートファーストで考えるならば、年内には決めるべきです」

(本誌・上田耕司、西岡千史)

週刊朝日  2020年7月31日号

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら