組織委の武藤敏郎事務総長は17日の会見で、追加費用について「誰が負担するのかというアプローチは(現時点では)望ましくない」と述べるにとどめた。結局、不足した予算の穴埋めは国がするしかない。国民がつけを払う形になる。

 しかし、コロナ禍で解雇や雇い止め(見込みを含む)にあった人が3万人を超えるなど、多くの企業や働き手が苦しむ現状で理解を得るのは簡単ではないだろう。

 時事通信が17日に発表した世論調査によると、安倍内閣の支持率は35.1%、不支持率は46.2%と、3カ月連続で不支持が支持を逆転。特にコロナ対策については「評価しない」が46.0%に上った。

 組織委関係者は言う。

「組織委は、もともと2年延期論が主流でした。延期を決めた3月の時点で、森会長も1年延期では難しいと思っていました。それを安倍首相が1年延期にしてしまったのです」

 首相の独りよがりの決断が裏目に出た。(本誌・上田耕司、西岡千史)

週刊朝日  2020年7月31日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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