本多劇場グループでは業界団体や行政のガイドラインに基づき利用の基準を定めている。収容人数の調整、マスク着用の徹底、サーモカメラによる検温、アルコールでの手指の消毒、アルコールを塗布した足ふきマットの入場時の使用などの対応を行っているという。

「終演後の面会も現時点では禁止、差し入れやプレゼントは劇団ごとの基準で、たとえば箱を置いてお客様のメモとともに入れてもらい、消毒などを行ったうえでスタッフさんに渡すなどしています」

 コロナ禍において本多さんがあらためて感じたのは、演劇の街と呼ばれる下北沢との「接点」だという。

「周りの飲食店の方などに、『劇場はいつ再開するんですか?』と何度も聞かれました。劇場まで足を運んで、時にはその街で食事をして、街を楽しんでいただくことまで込みで、演劇を見に行くという行為。提供する側、見る側、みんながガイドラインを守ることで、街全体を育てていく文化であることをご理解いただければと思います」

 演劇文化の火は消えない。

(本誌・太田サトル)

※週刊朝日オンライン限定記事