ある男子学生は、オンラインでも頻繁にコミュニケーションが取れたとして、こう振り返る。

「時間の調整がしやすく、グループワークの機会が増えた。電車移動中やバイト中でも、スマホで打ち合わせに参加する人が多くいた。発表の練習では、動画は簡単に撮れるし、それを教員に送ってアドバイスもすぐにもらえる。効率よく発表の完成度を高められた」

 BLP主査を務める舘野泰一准教授は、「今年は昨年の対面の授業よりも学生のレベルが高くなった」と手ごたえを感じている。オンライン授業が続く状況について、こう話す。

「大学や学部によって取り組みの差が出てきている。今回、新型コロナに直面したことで、大学が学生をどう考えているのか、危機に対応する力があるのか、本音や地力が見えてきた。この差は今後の大学・学部の人気の差にもなって表れてくると思う」

 各大学では新型コロナ対策として、オンライン授業を実施するために緊急の学生支援をしてきた。パソコンやWi−Fi機器などの無料貸し出しや、インターネット環境の整備のための給付金などだ。

 文部科学省の調査によると、授業を実施している大学のうち遠隔授業のみが59%、遠隔と対面の併用が31%。9割もの大学が遠隔授業を実施している状況だ。対面授業の全面的な再開の時期については、半数以上の大学が「検討中」と回答している。

 学生も、前述した立教大経営学部のBLPのように、オンライン授業のメリットを感じている。今後、かつてのような対面授業のみに戻すのは不可能だという声は多い。対面とオンラインでいかに効果的な授業を提供できるかが、より問われてくると見られる。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年7月24日号より抜粋

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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