立教大経営学部の授業「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」の様子=同大提供
立教大経営学部の授業「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」の様子=同大提供
学生のオンライン環境を整備するための主な対策 (週刊朝日2020年7月24日号より)
学生のオンライン環境を整備するための主な対策 (週刊朝日2020年7月24日号より)
(週刊朝日2020年7月24日号より)
(週刊朝日2020年7月24日号より)

 6月末、立教大経営学部(東京都)の人気授業「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」(BLP)をのぞいた。授業では選抜された五つのグループが、総合人材サービス会社パーソルホールディングス(東京都)の幹部らに新規事業を提案していた。

【12大学が実施するオンライン環境を整備するための主な対策はこちら】

「このプランを通じて、働く活力が得られることを価値提供したいと考えている」

「おもしろい企画だと思ったが、お金の流れがイメージできなかったので、もう少し具体的に教えてほしい」

「システムの提供とサポートをしてもらうことで、参加企業から料金を払ってもらうことを考えている」

 幹部からはビジネスの視点で鋭い質問が飛び出し、学生もしっかりと答えていく。緊張感のあるやりとりだが、これはすべてオンライン上。この日はウェブ会議システム「Zoom」と動画投稿サイト「YouTube」を使ってビジネスプランの提案が行われた。

 新型コロナの影響で立教大は4月30日から授業を開始したが、経営学部はいち早くオンラインでの授業実施を決め、9日から始めた。

 BLPの売りは少人数による実践的な教育だ。2年生の場合、10クラスに分かれ、1クラスは30人。授業の冒頭で、担当教員らがその日に学ぶビジネススキルなどについて説明する。その後、4、5人のグループに分かれて、演習していく。

 このとき活躍しているのが学生スタッフだ。各クラスに教員を補助するSA(スチューデント・アシスタント)と呼ばれる学生が1人つき、後輩学生に指導をする。さらにCA(コース・アシスタント)と呼ばれる学生が2クラスに1人つき、SAを補助する。各グループに1人、メンターと呼ばれる学生もつく。

 これまで、きめ細かい授業はオンラインでは難しいと思われてきた。だが、Zoomなどを使って実現。オンライン上でグループに分かれ、演習をしている。

 また、BLPでは授業外でも学生同士のつながりを強める試みをしている。オンラインでのクラス会の実施だ。昼や夕方などに2時間程度のクラス会を開き、スマホで一緒にゲームをするなど交流を深めてきた。多くの大学では入構制限がなされており、学生の孤立化が課題として挙がっている。BLPではこうして先輩や後輩、同期との密な関係をつくってきた。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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