オンライン飲み会などもありますが、それでも足りないものがある。オンラインだけでは人間に必要な感性を貶(おとし)める可能性があります。だから、大学は安全を確保しつつ、少しずつキャンパスを開放していかなければいけません。学生にはこうした限界があることを理解して、学んでほしいです。

 入試の実施について議論がありますが、共通テストも個別入試も通常どおり実施すればいいと考えています。というのも、大学入試とは高校2年までの学力を問うものです。京大は昔から教科書を理解できれば解ける入試になっています。一部の私大のように強烈に難しい問題は出さない。だから、教科書を真剣に読め。それだけでいい。何も恐れる必要はありません。

 9月入学はこれから時間をかけて議論をしていけばいいのです。

 重要なのは、国立大に独自にいろんな入試が設けられるように自由度を与えることです。定員も大学に自由に決めさせればいい。今の入試は厳格・公平性を重視して、制度が硬直化している。そのため、柔軟に対応できないんです。

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年7月24日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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