一方、ウェストに政治経験はない。選挙で投票したことさえないと言う。立候補するための登録期限が一部の州ではすでに終わっている今の段階で出馬したとして勝つ見込みはあるのか。

 国際ジャーナリストの山田敏弘氏は「本選まで残り4カ月しかない。勝つ可能性はほとんどありません」と言い、曲の宣伝のためではないかと指摘する。

「新曲を出したばかりということを考えると、プロモーションのための話題作りと考えるのが妥当です。もし本当に立候補すれば、民主党支持者が多い黒人層からの票を集めるでしょうが、それでは民主党のジョー・バイデン氏と票の奪い合いになり、トランプ氏を利するだけ。ウェストとトランプ氏は友人でもあり、初めからそれが狙いではないかと疑いたくなります」

 才能あふれる一方、音楽賞の授賞式に乱入するなどお騒がせの歴史を数多く持つウェスト。今回も思い付きの奇行なのだろうか。(桐島瞬)

週刊朝日  2020年7月24日号