影響力の低下も指摘されはじめた二階幹事長 (c)朝日新聞社
影響力の低下も指摘されはじめた二階幹事長 (c)朝日新聞社

 安倍長期政権を支え、自民党幹事長の連続在職日数最長を更新中の二階俊博幹事長が最大のピンチを迎えているという。4選支持まで一時は打ち出していたが、「次の改造で幹事長交代の可能性もある」と二階氏に近い自民党幹部は話す。

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 昨年7月の参院選を巡って、前法相で衆院議員の河井克行被告と妻の河井案里被告が7月8日、公職選挙法違反(買収など)で起訴された。案里被告は参院議員となり二階派に入ったが、疑惑が浮上し、自民党を離党。しかし、前出の自民党幹部は内情をこう話す。

「案里被告は離党の際も『今後も二階先生のご指導を仰ぎたい』と希望していた。二階氏も了承したので、保釈されたら案里被告は二階派の特別会員です」

 二階派でもう一人、自民党を離党して特別会員になっているのは、昨年12月に収賄罪で逮捕、翌1月に起訴された秋元司被告。派閥から逮捕者が2人も出ている。

 さらに、二階氏の影響力低下を裏付けるような出来事があった。4月に予定されていた中国の習近平・国家主席の国賓としての訪日。これを中止するようにと、自民党外交部会が菅義偉官房長官に申し入れたのだ。

 習氏は6月に、民主化運動が続く香港に対し、「香港国家安全維持法」を強引に施行。半世紀は不変とされた高度な自治「一国二制度」を覆しかねない状況で、国際的な批判を浴びている。外交部会に所属する国会議員が訪日中止についてこう話す。

「施行後、香港独立の旗を持っているだけで逮捕される市民が出るなど、香港に保障されていた民主主義が脅かされている」

 だが、“寝耳に水”だった二階氏は激怒。自民党内で習氏と最も太いパイプを持つだけに「軽々しく決めるな」と外交部会や官邸に反旗を翻したのだ。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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