「とりわけコロナショック後はご自身の投資がうまくいかずイライラすることが増えて体にもよくないと、資産運用でも安定志向が強まっている」と友田代表。

 そうした高齢投資家に友田代表が提案しているのが、債券を主体としたポートフォリオだ。

「資産の7割は固定金利の社債や国債で運用し、残りの3割で日本や欧米の株式などに分散投資する。債券なら放っておいても勝手に利息が入ってくるので、忙しい子どもでも負担にならない」(友田代表)

 従来こうした“利息収入”を得る資産運用の主役は不動産だったが、不動産市場の先行き不透明感から有価証券へのシフトが加速しているという。好例が、近年関心を集める家族信託だ。友田代表が解説する。

「家族間で資産の管理や活用に関する民事信託契約を結ぶのが家族信託。子が受託者となって親の資産を運用し、委託者・受益者である親にその利益を還元する仕組みにすれば、将来親の認知機能が低下しても、制約の多い成年後見制度を使わずに資産の引き出しや柔軟な運用を継続することができる。これまでは親名義の不動産で家族信託を活用するケースが多かったが、最近は株式や投資信託などの有価証券を信託財産とするケースが増えている」

 家族信託では相続発生後の遺産の承継先を2次相続まで指定でき、渡し方や管理方法をあらかじめ決めておくことも可能。信託財産の評価額によって数十万円から数百万円の司法書士への費用報酬がかかるが、将来の相続に不安を感じている高齢投資家には一考に値しそうだ。(ライター・森田聡子)

週刊朝日  2020年7月17日号