監督 トム・ハーパー/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/102分 (c)Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
監督 トム・ハーパー/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/102分 (c)Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
監督 トム・ハーパー/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/102分 (c)Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
監督 トム・ハーパー/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中/102分 (c)Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018

 数々の映画賞を受賞した音楽をめぐる物語「ワイルド・ローズ」。「ジュディ 虹の彼方に」で注目されたイギリスの新鋭ジェシー・バックリーが主題歌「GLASGOW」をはじめ全曲を自ら歌う。母親役は、名作「リトル・ダンサー」でアカデミー賞にノミネートされたウォルターズ。

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 イギリス、スコットランド。刑務所から出所したばかりのシングルマザーのローズ(バックリー)は、カリスマ的な歌声を生かすためにアメリカに渡り、カントリーミュージックの本場ナッシュビルでシンガーとして成功することを夢みている。

 やがて家政婦として働きだすが、不器用にしか生きられない彼女は、夢を追い求めるあまり、愛する母親(ジュリー・ウォルターズ)や幼い2人の子供たちを時に傷つけてしまう。
 夢か、それとも愛する家族かと悩むローズ。若さと溢れる音楽の才能を兼ね備え、遂に掴んだチャンス。葛藤する彼女が辿り着いた答えとは?

 やがてローズの魂がはじけるステージが始まる──。

 本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
カントリー・ソングを歌う不良少女ママが主役の英国製ミュージカル。舞台が英国スコットランド、歌は米国田舎調ともなると、スターを目指して頑張る歌手の出世話にもローカル色が出て地味めだが、歌の巧さは際立つ。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★ なかなかGOOD
ジェシー・バックリーの歌とパフォーマンスは圧巻。地元グラスゴーと憧れの地ナッシュビルの対比や自己の目覚め、主題歌など、「オズの魔法使」をモチーフにすることで、ヒロインの葛藤や成長を鮮やかに描き出している。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
夢を追いかけることは素敵だと思う。でも自分の立場もあって、わがままに見える瞬間が。そこにあの素敵なお母さんの言葉。とはいえローズは立ち止まって大切なものに気づく。観終わって即サントラを買いました!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
地に足のついた作風のイギリス映画の系譜の秀作。「ジュディ 虹の彼方に」でも光っていたジェシー・バックリーが素晴らしい。彼女に当て書きされたような一世一代の役。今作は生活に苦闘する人への賛歌になるだろう。

(構成/長沢 明[+code])

週刊朝日  2020年7月10日号