メドピア社のオンライン診療システムの画面
メドピア社のオンライン診療システムの画面
オンライン診療の流れ (週刊朝日2020年7月10日号より)
オンライン診療の流れ (週刊朝日2020年7月10日号より)

「オンライン診療」が広がりを見せている。患者にとっては病院で待たされることがなく、感染リスクがないなどの利点が多く、高齢者にとっても利用しやすいシステムが開発されている。一方、薬局でもオンライン化が進んでおり、今後も医療関連分野での拡大が期待されている。

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 新型コロナウイルスの流行で、病院やクリニックに行くのが怖い──。そんな不安に応えてくれるのが、電話やパソコン、スマートフォンなどを使って医師の診療を受けられる「オンライン診療」だ。

 以前から一部の対象者には行われていた診療スタイルだが、新型コロナの流行を受け、4月からは特例として、コロナが収束するまでの期間限定で初診でも受けられることになった。通院したり、待合室などで長い時間、待ったりする必要がないので、感染のリスクは大きく下げられる。

 先週号(7月3日号)でお届けした「医師1500人 コロナ緊急アンケート第2弾」では、医療現場はどう変わったかという質問をしたところ、4分の1にあたる400人近くが、オンライン・電話診療について触れていた。

 内容は、「オンライン診療や長期処方で問題ない患者さんが多数いることにみんな気が付いたと思う」(岩手・40代・一般内科)、「オンラインや電話診療が充実し、不要な受診やそれに伴う移動が減ったことはよかった」(山形・20代・小児科)など、前向きな見方が多かったが、「問診と限られた視診と処方のみであり、そのほかの診断・治療行為ができず、医療の質の低下を招く」(東京・60代・耳鼻咽喉[いんこう]科)、「誤診の可能性もあり、よいことだとは思えません」(愛知・30代・眼科)といった慎重論もあった。

 厚生労働省によると、オンライン診療ができる国内の病院やクリニックは、医療機関全体の約1割にあたる1万5千弱(5月下旬時点)あった。

 加えて、こうしたオンライン診療のシステムを提供するサービスを始めた企業も登場している。

 医師のコミュニティーサイトを運営するメドピア社は、今年5月から子会社Mediplatによるオンライン診療システムの提供を始めた。医師からの問い合わせは、すでに千件を超えたという。システムは、高齢者でも使えるように、簡素な仕組みにしている。医療機関からメールアドレスなどに送られてきたURLをクリックする、それだけで医師とつながり、画面を見て対話ができる。

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