税の特例では、テレワーク化の促進を目的とした投資額の即時償却、ないし10%の税額控除が可能なほか、収入が減少した中小・個人事業主の事業用不動産に対する固定資産税の減免措置もある。

 さらにテレワーク化を目的とした投資には、助成が出る可能性もある。持続化給付金と同じ、サービスデザイン推進協議会が受託した「IT導入補助金(コロナ対応特別枠)」を利用すれば、テレワーク投資の4分の3に相当する補助が出る。また、東京都も独自のテレワーク助成金を用意しているのだ。前出Bさんは、都から30万円の助成を受けることに成功したという。

「コロナを機に、手書きだった伝票を電子化して、自宅にいながら日々の売り上げと支出を管理できるシステムにしようと考えて、申請を出したら通ったんです。このほか、都のデリバリー・テイクアウト助成金も80万円もらえることが決まりました。これからデリバリー用の電動自転車や注文管理用のタブレットなどを購入する予定です」

 ただ、申請のハードルが上がっている点には注意したい。

「都の助成金を申請する際には、見積書の添付が必要。それも、ネット上で簡単に印刷できるものでなく、量販店の法人営業担当者の判子付きでないといけません。しかし、5月半ばに大手量販店に行って『都の助成金を申請したいから、パソコン購入用の見積書をつくってほしい』と頼んだら、『受け付けは終わりました』と言われてしまいました。この助成金制度では、お金が下りたら、必ず見積もりどおりに購入しなくてはならない。申請用の見積もり依頼が殺到しすぎて見積もりどおりの商品を用意できなくなる可能性が出てきたため、受け付けを締め切ったとのことでした」(Bさん)

 裏返せば、在庫切れリスクのないソフトウェアなどは見積もりが取りやすく、申請がしやすいという。このほか、インバウンド需要の減少で苦境に立たされた宿泊事業者を対象にした補助金などもある。これらをフル活用して、アフターコロナに臨みたい。(ジャーナリスト・田茂井治)

週刊朝日  2020年7月10日号より抜粋