雇用調整助成金では、休業した従業員に教育訓練を課す場合には、1日1人当たり1800~2400円の助成を加算することも可能だ。1200円から引き上げられた。これまでの教育訓練加算では対象外だった、自宅でできる学習やマナー・パワハラ研修なども対象に加えられたので、コロナを機に人材教育に力を入れている事業者は押さえておきたい。

 このほか、2次補正では事業者に家賃を給付する制度が新たに盛り込まれた。

「持続化給付金と同様、ひと月の売り上げが50%以上減となった事業者、ないしは連続3カ月間の売り上げが前年同期比で30%以上減になった事業者が対象。法人は上限100万円で月の家賃の3分の2または3分の1を6カ月分、同様に個人事業主は上限50万円で6カ月分の給付を受けられますが、持続化給付金と異なり、対象月は今年5月から12月のいずれか。4月に売り上げが激減した人は対象外となる可能性がある点に注意が必要です」(井戸氏)

 光熱費や原材料費と異なり、家賃は休業中も発生する。補助が出れば負担は大幅に軽減される。一方で、大家には緊急対応措置として税制の特例が設けられたことも知っておきたい。

「テナントの家賃減額交渉に応じた大家は、賃料減額分を特例的に損金計上できるようになりました。損金として課税所得から控除できるので、投資用不動産の家賃減額を行った方は来年の確定申告時に忘れないようにしましょう」(同)

 この税の特例は、テナントとして入居する事業者も認識しておくべきもの。家賃減額を求める際に、交渉材料となりえるからだ。一方で、大家からすれば契約見直しを迫る材料になりえる。銀座のクラブママが話す。

「4月以降、家賃を滞納してしまって大家との減額交渉を続けていたのですが、5月末から急に『半年間の家賃を免除してもいい。その代わり、契約を3年間の定期借家契約に変更すること』と言われたんです。税理士に相談して、初めて大家が家賃減額することの税制面でのメリットを知りました。半年間免除は魅力的ですが、定借に変更すれば3年後には追い出される。築40年を超える古いビルなので、体よく追い出して建て替えようと考えているのかもしれません」

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