林:その「カワイイ女の子」というのも、ちょっとひねってなければダメなんですよね。女性であることを利用した人ほど、後になって「『ガラスの天井』(女性のキャリアを妨げる見えない障壁)があった」とか、「女性だからこういう目にあうんだ」とか必ず言うって石井さんはおっしゃってますけど、ほんとにそのとおりだなと思いますよ。

石井:実際に「ガラスの天井」で苦しむ女性もいますが、「あなたが言うのはちょっと」というケースもあります。小池さんがそうですが。結局、女の人が認められるには、本業で実力を蓄えるしかないと思うんです。でも、その本業が何だかよくわからない人、小池さんもそうですが、そういう人は年齢を重ねると行き詰まってくる。つまり仕事の本質みたいなところがないから、実力が蓄えられない。それで、人生の後半に、自分が思うようなポジションにいられないと「ガラスの天井があった」と安易に言ってしまう。

林:なるほど。

石井:でも、そうなっちゃうのは女の人本人の問題もあると思うんですけど、男社会の問題でもあるはずなんです。本業をしっかりさせることができず、年齢だけ重ねてしまった女の人は、結局、権力を持つ男の人を頼り続ける。それは女の人自身の問題でもあるし、そういう人をつくり続ける日本の社会の問題でもあると思います。また、こうやって生きていく女性のことを書いたりすると、今度は「女が女をいじめてる」みたいにされがちで。

林:そうそう。

石井:私も今回この本を書いたことで、「女が女を悪く言うと、ほんとに辛辣になる」とか、「女が女に嫉妬して、成功してる女を引きずり下ろそうとするから、女ってほんとにコワい」とかいう意見も来るし、何を言われてもべつにかまわないんですけど、いろいろ言われるものだなと。ノンフィクションは書くときも大変ですけど、書いた後も大変です。

林:本当にそうですね。私、それでもたぶん小池さんは都知事選で勝つと思うんですよ。

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