写経は文字どおり、仏教の経典を写すこと。般若心経が書かれた紙を筆でなぞるのが一般的だ。文字数は寺によって異なるが270字前後で、写すのに1~2時間ほどかかる。自分の宗派に関係なく寺の道場で写経できるほか、写経用紙を寺から取り寄せたり、ウェブサイトからダウンロードしたりして自宅でもできる。文房具店や100円ショップでも買える。それに筆ペンかフェルトペン、もしくは筆と墨があれば、すぐに始められる。

 日本仏教協会代表理事で、僧侶の中根善弘さんはこう説く。

「自分で経を書き写すことによって、お坊さんが経を読んだのと同様に効力があるものなのです。『長寿』や『健康』など願意を込めて何十枚も書き上げてお寺に奉納されるご年配の方もいらっしゃいます」

 もちろん、書き上げた写経は自宅に置くのもいい。

 また、つい上手に書かなければという気になってしまうが、中根さんは言う。

「心が込められているかが大事です」

 写経を始めるにあたって、記者がまとめた5カ条は下のとおりだ。

■きれいに書こうと思うな
■急いで書き上げなくていい
■書きたいときに書きたい場所で書こう
■一字一字に心を込めて
■書いたものは自宅で大切に保管するか、寺に奉納しよう

 さあ始めてみよう。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2020年7月10日号